気の毒な金木犀

毎年、朝の出勤時やゴミ出しの時、外に出ると不意にふわっと漂ってくる香り…。なぜかそれに気づくのは、1日限りのことが多い。
今年は、部屋の窓から入ってくる秋の風に乗って、本当にちょっとだけ、しかも瞬間的に香ってきた。多分、どこか近所の庭で咲き始めたんだと思う。
毎年、どこの家にあるのかわからないまま…。
せめて3日くらい香ってくれても良いのに…と思う。自分が慌ただしかっただけかもしれないけど…。

何年も前に、金木犀の香りを「トイレの匂い」という若い子が増えたと聞いた。芳香剤に使用されるようになって、人間の嗅覚はおかしなことになっていしまったらしい。
金木犀には気の毒…ちょっとかわいそうな気もする。
ん?本当にかわいそうなのは、金木犀の香りを「トイレの匂い」と覚えてしまった人間の方か…。

普通より鼻が利く身としては、できるだけ生活の中に人工的な余分な匂いは不要…かえって迷惑だから…。だから、芳香剤も置かないし、香水もあまり好きじゃないし、使っている人も苦手…。
エレベーターとかで思いっきり香らせている人がいたり、そういう人の残り香があったりするのに遭遇すると、それはもう「香り」じゃなくて「不快な匂い」…。体臭の強い人はもっと苦手だけど…。

調香師になればよかったと思ったことがあるけど、不快な匂いも嗅がなければいけないから、きっと無理だったなぁ…。